呼吸が浅い、深いってどういうこと?〜理想の呼吸を考える〜

こんにちは、久家です。
 
これまでは数回にわたって
呼吸の重要性について
いろんな視点から
お伝えしてきました。

毎回読んでくれた方は
呼吸について
かなり詳しくなったと思います。

ここで学んだ事を活かして
呼吸のクオリティを高めてほしいわけですが
実際の生活の中で
どんな呼吸ができたらいいのか?
 
今回は
皆さんに身につけてほしい
「理想の呼吸」について
お伝えします。

理想の呼吸とは?

ヨガ、太極拳、気功といった
数千年の歴史を持つ呼吸法はどれも、
静かで、穏やかな呼吸を推奨しています。
 
太極拳では、
大会でジャッジが特に注目するのは…
 
選手の呼吸
 
呼吸音が聞こえたり
呼吸の動きが見えたりすると、
減点になるのだと言います。
 
有名な気功と太極拳のマスターの言葉に
こんな言葉があります。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
呼吸には3つのレベルがある。

第1のレベルは、
隣の人に聞こえないぐらい静かに
呼吸をすること。
 
第2のレベルは、
自分にも聞こえないぐらい静かに
呼吸すること。
 
第3のレベルは
自分でも感じないぐらい静かに
呼吸することだ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そして中国の「気」という考え方の核は
呼吸だと言われ、
伝統的な中国医学も、
同じような呼吸法を推奨しています。
 
一方、現代社会で
欧米を中心に広まっているヨガは、
体から毒素を排出するために
大きく呼吸するように指導します。
 
どちらが正しいのでしょうか?
 
どちらも間違ってはいないと思いますが
日常の中で、
無意識に1日約2万回行う呼吸としては、
大きく呼吸するのは
非効率ではないでしょうか。
 
本物の健康を手に入れるためには

静かで、穏やかで、鼻呼吸で、腹式呼吸で、リズムが一定していて、吐いてから小休止が入る

これが理想の呼吸法だと僕は考えています。
 
なぜ私たちは
正しく呼吸できなくなってしまったのか?
 
現代社会の生活によって、
その全てが変わってしまったんです。
 
・加工食品
・ストレス
・喋りすぎ
・高気密の室内、
・深呼吸が体にいいという誤解


など、
現代人の生活には、
正しい呼吸を乱す要素が
たくさんあるからです。
 
こういう環境の中で
生活しているからこそ
普段から自分の呼吸に
しっかりと意識を向けて、
呼吸を本来の姿に戻すことが
重要なのです。

深呼吸の本当の意味

あなたは「深呼吸」を
正しく説明できますか?
 
患者さん方に
深呼吸を説明してもらうと
ほとんどの方が
「たくさん空気を吸い込むこと」
と答えます。
 
しかし
できるだけたくさん
空気を吸い込もうとすると…

大抵は口呼吸で胸式呼吸になってしまいます。
 
そこでまずは
「深い」という言葉について
考えてみましょう。
 
一般的には、
「一番上からの距離が長い」
という意味ですが
呼吸に対して「深い」を使う場合、
どういった意味なのでしょうか?
 
深呼吸という表現に使われる「深い」に
「一番上からの距離が長い」
という定義を用いるなら、
「一番上」は
肺または胸郭の一番上
ということになるでしょう。
 
つまり深い呼吸とは
肺の一番上から一番下まで
空気を送り込む呼吸
です。
 
では肺の一番下とはどこでしょうか?
それは、

横隔膜の状態によって変化します。
 
肺は空気の出し入れで
伸びたり縮んだりするように
思われがちですが、
実際はそうではありません。
 
肺そのものが
自動的に動いているのではなく、
肺を収容している
胸郭の容積が変化することで、
間接的に伸ばされたり、
縮んだりしているだけなんです。

また
胸式呼吸では
横隔膜の位置は変わりませんが、
腹式呼吸では息を吸った時に、
横隔膜は伸張して下に下がります。

こうして、肺の一番下まで空気を取り込むのです。
 
要するに深呼吸とは
腹式呼吸をすることであり、

たくさんの空気を吸い込むことではありません。
 
吸った空気を肺の底まで送り届けることなのです。
 
これが深呼吸の
本来の意味なのですが、
あまりにも
深呼吸=たくさん空気を吸い込む
というイメージが強いので、
ここでは
深い呼吸と呼ぶことにします。
 
この呼吸を行えば
たくさん息を吸う必要はなく、
ごくわずかな呼吸でも
横隔膜を動かして
肺の底まで送り届けることは
十分可能です。
 
鼻呼吸と腹式呼吸を
ともに実践していれば、
安静時に自分の呼吸に
気づくことはないでしょう。
音も聞こえず、動きも見えません。
 
対照的に、口呼吸になると、
呼吸過多になり、
呼吸音がはっきり聞こえ、
呼吸に合わせて胸が上下するのも見えます。
それなのに、
空気を肺の底まで届けることができません。
 
赤ちゃんの呼吸を見ると
深い呼吸というのがよくわかります。
安静時は静かで深い呼吸をしています。
吐いたり吸ったりするたびに、
横隔膜が静かに伸張と収縮を繰り返す。
あくまで自然な動きで、
無理をしているところは全くありません。
そして、鼻呼吸です。
 
僕らが身につけるべきは
この静かで深い呼吸なのです。

ストレスで呼吸が変わる

横隔膜を正しく使えば、
深くて効率的な呼吸ができるようになります。
 
横隔膜を使った
腹式呼吸の方が効率的な理由は
とても単純で、
肺の形がそうなっているからなんですね。

肺は上が細く、下が広くなっているため、
下半分の血流は上半分よりも多くなります。
 
慢性的な呼吸過多によくある、肺の上部だけを使うペースの速い呼吸は、肺の下部を活用していません。
 
そのため
血液に送られる酸素の量が
少なくなってしまいます。
 
それだけではありません。
 
肺の上部だけを使った呼吸は、ストレス反応を引き起こし、交感神経が優位になってしまいます。
 
人はストレスを感じると、
呼吸過多で口呼吸になる傾向があります。
 
その時の呼吸は、

ペースが速く…
音が聞こえて…
呼吸の動きが大きくなり…
ため息が含まれる…
 
いつもストレスを抱えている人は
普段からこのような呼吸をしています。

 
これでは、
脳に運ばれる酸素の量が減り、
悪循環に陥ってしまいます。
 
ストレスや不安を
いつも抱えている人に必要なのは…
カウンセリングなどを受けるよりも、
まずは
間違った呼吸の習慣を正すこと
が大事です。

一方、

健康でストレスレベルの低い人は、自然な腹式呼吸をしています。

ペースは遅く…
静かで…
規則正しい…
呼吸音や動きに気づかない…


そして

鼻呼吸
 
こういった呼吸法を身につけるには、
副交感神経を優位にして、
心身ともにリラックスすることが大切です。
 
そのためには、

横隔膜を正しく使う腹式呼吸を身につけること

この正しい呼吸が身につけば、
心は落ち着き、
エネルギーが増し、
夜もよく眠れる
といった効果がすぐに現れるでしょう。
 
そしてあらゆる面で
健康状態が向上するだけでなく、
運動パフォーマンスの向上も期待できます。

鼻呼吸がもつ様々な利点

最後に
「鼻呼吸」について
お伝えします。
 
私たちの祖先は運動時でも
鼻呼吸をしていたことがわかっているし、
現代でも、
北米や南米の先住民族などは
祖先の鼻呼吸をそのまま受け継いでいます。
 
そして
この原始的な生活を送る
先住民族たちは、

長時間にわたって口を閉じたまま、強度の高い運動を続けることができます。
 
これは現代人がすでに失ってしまった能力です。
 
現代社会の
様々な影響を受けている私たち。
その影響を受けている体を
リセットするにはやはり…
基本に立ち返るべきだと思います。
 
特に普段口呼吸を行なっている人は
運動中に鼻で呼吸することに
違和感を覚えるかもしれません。
 
しかし人間は体の構造上
鼻呼吸をするようにできています。
 
鼻は呼吸のためにあるのです。
 
人間本来の鼻呼吸には
たくさんの利点があります。

・吸い込んだ空気が肺に入る前に
 いらないものを取り除き、
 温めて湿気を与える
 
・心拍数を下げる
 
・一酸化窒素が肺に送られ、
 気道と血管が広がる
 
・酸素が全身に効率的に行きわたる
 
・動いている筋肉に
 たくさん酸素が送られることで、
 パフォーマンスアップにつながる


などなど。
 
こういった利点が
得られることを考えれば、
鼻呼吸にしない手はないですよね。
 
 
いかがでしたか?

僕らが日常生活の中で
目指すべき理想の呼吸は
今回お伝えしたような
鼻呼吸で、腹式呼吸で行う
静かで深い呼吸です。
 
あなたの呼吸はどうですか?
 
これまで何度も
お伝えしてきましたが、
僕たち現代人は
・スマホやPCによる姿勢の崩れ
・ストレス
・運動不足
などによって
正しく呼吸ができていない人がほとんどです。

さらに
コロナ禍のマスク着用によって
呼吸の乱れがさらに加速しました。
 
1日約2万回行う呼吸。
呼吸も運動の1つです。
 
間違った運動を
毎日2万回繰り返していたら…
 
間違ったままの呼吸で、
これからの人生を送っていけば…
 
体に不調がくることは
容易に想像できますよね。
 
僕が患者さんたちに
呼吸の重要性を
繰り返しお話させて頂くのも、

こうやって記事にして
何度もお伝えしているのも、

「呼吸」が一番身体に影響する習慣だからです。

そして
そのことを皆さんに
しっかりと理解してほしいからです。
 
ぜひこの機会に
ご自身の「呼吸」に
目を向けて頂けたらと思います。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

久家

福岡市西区の姿勢矯正専門整体院ベストフォームについて

ベストフォームは、福岡市西区で姿勢矯正に特化した施術を行なっている整体院です。
完全個室・完全予約制なので、施術中に他のお客様と顔を合わせることのないプライベート空間で、人目を気にせずリラックスして施術を受けていただけます。
毎回院長である私が担当し、体の状態、症状の経過をしっかりと把握して、患者様一人一人の悩みと真剣に向き合い、責任をもって施術させていただきます。
夜は20時まで受付、日曜祝日も営業していますので、お仕事でお忙しい方も無理なく通えます。
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このコラムを書いた人

福岡市西区の整体ベストフォーム 代表久家陽介

経歴

  • 出身地:福岡市西区
  • 出身校:修猷館高校ー九州大学ー九州大学大学院
  • 大学卒業後、企業に就職。その後転職しメディカルトレーナーの資格を取得。大阪、兵庫、福岡で10年間整骨院に勤務。
  • 2014年Best Formを開院。パーソナルトレーニングの指導、野球チーム(中学、高校、大学)の専属トレーナーとしての活動経験もあり、症状の改善だけでなく、健康づくり、アスリートの故障予防やパフォーマンスアップにも精通している。

メッセージ

人生100年時代を健康に生きていくためには、自分で情報を取捨選択して、「自分の健康を自分で作る」能力が必要不可欠になります。だからこそ整体で症状を改善するだけでなく、患者さんたちが自分の健康を自分で作れるようにサポートをする、これが僕ら整体師が担う重要な役目だと考えます。
当院のコンセプトは「健幸づくり」。患者様一人一人に、健康を当たり前にして幸せな人生を送って頂きたい、そんな想いを込めて仕事をさせて頂いています。
ご来院中の患者様、そしてこれから出会う方々とのご縁に感謝して、一人でも多くの方を「健幸」に導くために邁進して参ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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